9月14日(火) 東京

 目が覚めてカーテンの隙間から外を覗くと、高速道路の周りには延々と建物が続き、既に東京に入っている ことがわかる。 しばらくすると車掌が予定より早く新宿に到着しそうだ、とアナウンスして、それをきっかけに車内は降車準備をする客で ざわめき始めた。ほとんどの客は新宿西口のバスターミナルで降りた。自分もそこで降りるつもりだったが、終点のほうが 大江戸線の都庁前駅に近いこともあって結局そのまま乗っていた。降車客を確認していた車掌は、 新宿西口で降りる予定の客がそのまま乗っている ことに気付いて運転手と少し相談していたが、結局何も言わずにそのまま発車した。

新宿

 終点の京王プラザ前で降りたのは、自分と派手な水商売風の若い女性一人だけだった。今年の東京は異常に暑い日々が 続いているが、早朝の空気は1週間前にはなかった秋の気配をかすかに漂わせている。降車した後、預けていた荷物を受け取り、 東京都庁を横切る道を歩き始めた。 歩くとまだ右膝に痛みが走るが、昨日より軽くなったような気がする。 びっこをひきながら都庁横の地下通路入り口に向かい、妻に到着の電話をして地下鉄の駅に降りた。人気の無い ホームで15分程待った後、空いている電車に乗った。

 駅からの帰り道にある都営住宅の雑草園のような花壇には、 行きにはなかったヒガンバナが赤い花を咲かせている。帰宅すると妻と猫が出迎えてくれた。無くしたと思っていた鍵は、 荷物の奥から見つかった。



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