中辺路の針地蔵



9月6日(月) 東京

 今晩から旅に出ると言うのに、昨夜紀伊半島沖を震源とする群発地震が発生した。 かなり揺れたらしい。気象庁もこのような地震は例が無いと言っている。南にいる 2つの台風を心配していたが、もう1つ心配の種が増えたようだ。妻も

「地震あったでしょ。大丈夫かね?」

 と、言っている。

 しかし、バスも宿も予約済だしネットで買った「青春18きっぷ」もさっき届いた。 今更キャンセルするわけにはいかない。今回の旅では熊野古道歩きや大峯(おおみね)登山 も予定しているので先日の大雨台風による地盤のゆるみも含めて気を付けなければならない。 普段履きも兼ねた軽登山靴を新調しようかと思っていたがそれは止め、20年近く 使っているクラッシックな登山靴をバックパックに詰めて平地はサンダルで行くことにした。

 今回の旅は素泊まりが多く、食事所もあまり無さそうなので自炊道具と食料を持っていく。 レトルトご飯と缶詰を近所の「くすりの清水」で、ラーメンとドリップオンコーヒーを同じく 近所の「アップルマート」で、チョコレート、飴、キャラメルを練馬の「西友」で買った。 缶詰は重いが消費すれば道々軽くなる。以前使っていたコッヘルが見つからないので自転車で 池袋まで買いに行った。最初に寄ったアウトドアショップは改装中で閉まっており、 「東急ハンズ」でLPGガス用の小型の物を買った。以前のそれは着火にライターが 必要だったが、今は全て着火装置が付いており便利だ。

 自宅に戻り荷造りを始めたがなかなか上手くまとまらない。大した物は無いのだが食料が かさばるのだ。無理矢理詰め込むとザックはパンパンで、ザックカバー、カッパ、小型三脚は ザックの背に括り付け、カメラは首からぶら下げる事にした。きっとラーメンは押し 潰されてボロボロになっている事だろう。

 バタバタしているうちにすっかり暗くなってしまった。余裕を持って夜行バスに乗るには 家を8時40分に出なければならない。ザッとシャワーを浴び、買ってきて貰った寿司を摘み 夕食にした。出かける直前に着替え用の下着を入れ忘れた事に気付き、妻に慌てて 用意して貰う。彼女と猫の見送りで家を出たが、5メートルも行かないうちに帽子を取りに 引き返した。我ながら仕様が無いなあなどと思いつつ、帽子を取って貰い再び出発。 バックパックは結構重い。

池袋


 結局、池袋には余裕で着いたのだが、家から駅まで焦って歩いたので結構汗をかいてしまった。 自動販売機でペットボトルのお茶を買い、バス停に向かう。バス停にはそこそこバス待ちの人が いたが、ベンチに座りバスを待つことができた。皆軽装だ。時折ベンチ周りを

「田舎物はマナーが悪くて かなわん。」

 と、聞こえよがしにブツブツ言いながら初老の清掃員がほうきで足元を掃いて回る。 煙草の吸殻が多い。近くにコンビニがあったので朝食用におにぎりを3個買い、 やってきた勝浦温泉行きの夜行バスに乗り込んだ。席は前から4列目の中央で、窓際ではない。 満席ではなかったのでその場で切符を買った客もいたようだ。

 発車後の車内アナウンスで休憩が2度あると言っている。真後ろの席が空いていたので 思いっきりシートを倒し、毛布を被って寝た。途中何度か目が覚めたが、休憩時に降りる事は しなかった。





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